Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




IH




「あ、見えてきたわ!」


 芽衣子の声に身を乗り出すように、前を向く。


「あれが長老の家?……一般の家となんら変わりはないのね」


 周囲を椿の塀で囲っている。

その中央には白い2階建ての家が建っていた。

普通の家よりかは少し敷地が広いようだが、

それ以外は人間たちの家と同じようだ。


(なんだ、木の上に家があるとかじゃないのね)


 獣人の家と言うくらいだからもっと野生的な家を

想像していただけに肩透かしを食らった気分になる。

それを山波は敏感に感じ取ったらしい。


「いやいや、家なんて関係ないですよ!

あの方々は本当に徳のある方々ですから!」


 山波が、わざわざ身体を向けてくる。

みのりは、必死の形相で言い募る様子に、微かに頬を引き攣らせた。


「山波さんが無条件で受け入れるくらいの方々なんですね。

お会いできるのが楽しみだわ」


 無理やり作った笑みを山波へ向ける。

それ見て、山波が満足げに頷いた。

先ほどは胸の内を読み取られたと思ったが、ただの偶然だったのだろうか。

みのりは、内心で苦笑した。










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