Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
II@
「俺は認めんからな!」
「お父さん!」
怒りで息を撒く山波を諌めた芽衣子が、角の飛びだした飛田を振り返る。
「飛田君! 角、つの!」
目を剥いて必死で背中を撫でる芽衣子を見て、碧が愉快げに微笑んだ。
「おやおや、相変わらず制御は苦手なようですね」
「まったくだ!」
半分呆れたような碧の言葉に、善郎が同意した。
「すすすすすすみません!」
顔を真っ赤にした飛田が慌ててかぶりを振る。
とたんに角が前方のみのりへ降りかかり、たまらず彼女が悲鳴をあげた。
「きゃー! 飛田さん、角が生えてる状態で頭を振り回さないでください」
みのりが飛田の角を躱しながら文句を言うと、
芽衣子が今一度飛田の背中に手を置く。
「飛田君、深呼吸して、ゆっくりすってーはいてー」
宥める芽衣子の言葉に従い、飛田が深呼吸する。
(よかった……)
次第に治まりだした角を見て、麻里は大きく吐息した。
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