Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
IIB
「それじゃあ、私と飛田君はこのへんで」
話が一段落したらしいことを悟った芽衣子がおもむろに口を開いた。
「あ、はい。ありがとうございました」
軽く一礼して助手席の扉へ手をかける芽衣子に対し、
みのりが姿勢を正す。
軽く会釈するみのりの横で山波が腕を組んだ。
「デートは許さん! だが……なんだ、世話になったな」
にかっと口角をあげて飛田を見る山波に対し、飛田が目を瞬かせる。
「あ、はい!」
慌てて一礼する飛田を見て、
助手席から顔をだした芽衣子が嬉しげに吐息した。
「お父さんったら……」
素直じゃないんだから、芽衣子が呟くのを聞いていると、
前方の家から声がかかる。
「おー、これはこれは、ようこそいらっしゃいました」
のんびりとした声音で出てくる野伏間(のぶすま)老人の顔を見て、
麻里はいつの間にか張り巡らせていたらしい緊張の糸をほどいた。
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