Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
二
IIC
「あ、これは野伏間長老! 御厄介になります」
深々と一礼する山波を見て不思議に思いながらも、
麻里も野伏間老人に頭をさげる。
「お世話になります」
「よろしくお願いいたします」
隣にいた高松も自分たちと同じように挨拶を交わすと、
野伏間老人がにかっと微笑んだ。
「とんでもねーべ。
ささ、中で麗ちゃんと朔ちゃんが首を長ーくして待ってるべ」
鷹揚な表情で優しく促してくる野伏間老人を前に、
山波が直立不動で返事をする。
「はい!」
ぴしりと姿勢を正し肯定する山波の後ろから、みのりがゆっくりと前へでた。
「ありがとうございます。
飛田さんと芽衣子さん、ありがとうございました」
どちらにも優雅な動作で礼を言うみのりへ芽衣子が頷く。
「ええ。それじゃあ、また」
「どうも」
走り去る車を見送っていると、小さな溜め息が聞こえる。
麻里はささやかに吐息したみのりの様子をこっそり窺いながら、
なぜか彼女の心境がわかる気がした。
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