Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




IIC




「あ、これは野伏間長老! 御厄介になります」

 深々と一礼する山波を見て不思議に思いながらも、

麻里も野伏間老人に頭をさげる。

「お世話になります」

「よろしくお願いいたします」

 隣にいた高松も自分たちと同じように挨拶を交わすと、

野伏間老人がにかっと微笑んだ。

「とんでもねーべ。

ささ、中で麗ちゃんと朔ちゃんが首を長ーくして待ってるべ」

 鷹揚な表情で優しく促してくる野伏間老人を前に、

山波が直立不動で返事をする。

「はい!」

 ぴしりと姿勢を正し肯定する山波の後ろから、みのりがゆっくりと前へでた。

「ありがとうございます。

飛田さんと芽衣子さん、ありがとうございました」

 どちらにも優雅な動作で礼を言うみのりへ芽衣子が頷く。

「ええ。それじゃあ、また」

「どうも」

 走り去る車を見送っていると、小さな溜め息が聞こえる。

麻里はささやかに吐息したみのりの様子をこっそり窺いながら、

なぜか彼女の心境がわかる気がした。










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