Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




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 野伏間を先頭に居間へ通される。

木造でできている家の中も、外観と同じで素朴な造りではあったが

人間たちが暮らしている家と何ら変わったところはなかった。


 みのりは無作法にならない程度に視線をさ迷わせる。

腕を組み、目をつむったまま微動だにしない老人が視界に入った。


(あの人は、現長の狼谷満(かみやみつる)の祖父で、

前の長だった、狼谷朔太郎(さくたろう)さんかしら?)


 白髪の髪を後ろでひとつに束ね、

草色の作務衣を着た男を観察するように見つめる。

ふと視線を感じ、横へ顔を向けると藤色の着物姿の可愛らしい

老女と目が合った。


(たしか三長老の紅一点で、

名前は鶯木麗(おおきうらら)さんって言ったかしら?)


 見た目の可憐さからは想像つかないが、

かなりの女傑だという噂だ。


(まさか三長老に会うなんて思いもしなかったわ……)


 人づてにしか聞いたことのなかった存在だ。

その彼らが目の前にいる。

想像していたよりも、ずいぶんと気安そうな人たちだ。

もっと両親のように近寄りがたい雰囲気を纏っていると

思っていただけに、内心で安堵した。










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