Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
@
野伏間を先頭に居間へ通される。
木造でできている家の中も、外観と同じで素朴な造りではあったが
人間たちが暮らしている家と何ら変わったところはなかった。
みのりは無作法にならない程度に視線をさ迷わせる。
腕を組み、目をつむったまま微動だにしない老人が視界に入った。
(あの人は、現長の狼谷満(かみやみつる)の祖父で、
前の長だった、狼谷朔太郎(さくたろう)さんかしら?)
白髪の髪を後ろでひとつに束ね、
草色の作務衣を着た男を観察するように見つめる。
ふと視線を感じ、横へ顔を向けると藤色の着物姿の可愛らしい
老女と目が合った。
(たしか三長老の紅一点で、
名前は鶯木麗(おおきうらら)さんって言ったかしら?)
見た目の可憐さからは想像つかないが、
かなりの女傑だという噂だ。
(まさか三長老に会うなんて思いもしなかったわ……)
人づてにしか聞いたことのなかった存在だ。
その彼らが目の前にいる。
想像していたよりも、ずいぶんと気安そうな人たちだ。
もっと両親のように近寄りがたい雰囲気を纏っていると
思っていただけに、内心で安堵した。
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