Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
A
柔和に微笑んでいる麗へ笑みを返す。
おもむろに山波が口を開いた。
「みんな無事なようで何よりですな!」
まるで全員が座るのを待っていたかのような絶妙なタイミングで
話し始める。
こちらを見ていた麗が、
興味津々というような眼差しを山波へ向けた。
「まあ、善郎さん。無事なようでって何かあったんですか?」
「そりゃあ、狼が襲ってくる可能性があるじゃないですか!」
山波が息を巻いて話す内容に、
朔太郎の閉じていた瞳が開く。
「狼? どういうことだべ、山波さん?」
朔太郎がぎろりと、睨みつけるように顔を向ける。
しかし山波はそんな視線に怯むことはなかった。
それどころか、身を乗り出すようにしてさらに大きな声をあげた。
「狼は狼ですよ!
この前もいきなり乱入していたじゃないですか!」
「なんだってー! それは本当だべか?
本当に狼だったんだべか?」
朔太郎が山波へ詰め寄る。
山波は、今にもおでことおでこがぶつかりそうな距離になりながらも
負けることなく応戦していた。
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