Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




A




 柔和に微笑んでいる麗へ笑みを返す。

おもむろに山波が口を開いた。


「みんな無事なようで何よりですな!」


 まるで全員が座るのを待っていたかのような絶妙なタイミングで

話し始める。

こちらを見ていた麗が、

興味津々というような眼差しを山波へ向けた。


「まあ、善郎さん。無事なようでって何かあったんですか?」

「そりゃあ、狼が襲ってくる可能性があるじゃないですか!」


 山波が息を巻いて話す内容に、

朔太郎の閉じていた瞳が開く。


「狼? どういうことだべ、山波さん?」


 朔太郎がぎろりと、睨みつけるように顔を向ける。

しかし山波はそんな視線に怯むことはなかった。

それどころか、身を乗り出すようにしてさらに大きな声をあげた。


「狼は狼ですよ!

この前もいきなり乱入していたじゃないですか!」

「なんだってー! それは本当だべか?

本当に狼だったんだべか?」


 朔太郎が山波へ詰め寄る。

山波は、今にもおでことおでこがぶつかりそうな距離になりながらも

負けることなく応戦していた。










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