Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
B
「そうですよ! 変な髪型の男でしたよ!」
「変な髪型? まさか満が?」
「邦ちゃん、めったなことを言うもんじゃないわよ」
山波の言葉に長老たちがざわつく。
(山波さんちに来た獣人と現長は同一人物みたいね)
噂どおり人間嫌いの獣人なのだろう。
長老たちの表情からも伺えた。
(先生の知り合いだっていう獣人とは別人の可能性だって
あるものね)
ただ同じ名前だったということもあり得る。
(同じ満だからって早合点しちゃだめよね)
みのりが心の中で反省していると、
朔太郎が麗へ否定の言葉を口にしていた。
「だけど麗ちゃん、
狼で変な髪型の男つったらあのバカ孫くらいしか考えられねーべ」
こちらに聞こえないように配慮しているのか、
口へ手を当て話しかけている。
しかし、地声が大きいのだろう。
まったく意味をなしていなかった。
「孫! あの野郎がですか!」
山波が驚いた様子で瞳を丸くする。
瞬きを繰り返す彼を尻目に、みのりは
『満』という獣人が現長であることを確認することにした。
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