Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




B




「そうですよ! 変な髪型の男でしたよ!」

「変な髪型? まさか満が?」

「邦ちゃん、めったなことを言うもんじゃないわよ」


 山波の言葉に長老たちがざわつく。


(山波さんちに来た獣人と現長は同一人物みたいね)


 噂どおり人間嫌いの獣人なのだろう。

長老たちの表情からも伺えた。


(先生の知り合いだっていう獣人とは別人の可能性だって

あるものね)


 ただ同じ名前だったということもあり得る。


(同じ満だからって早合点しちゃだめよね)


 みのりが心の中で反省していると、

朔太郎が麗へ否定の言葉を口にしていた。


「だけど麗ちゃん、

狼で変な髪型の男つったらあのバカ孫くらいしか考えられねーべ」


 こちらに聞こえないように配慮しているのか、

口へ手を当て話しかけている。

しかし、地声が大きいのだろう。

まったく意味をなしていなかった。


「孫! あの野郎がですか!」


 山波が驚いた様子で瞳を丸くする。

瞬きを繰り返す彼を尻目に、みのりは

『満』という獣人が現長であることを確認することにした。










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