Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




D




 収拾がつかなくなった老人たちの謝り合戦に終止符を打ったのは、

麻里だった。


「満さんは悪くありません! きっと深いわけがあったんです」


 きつくこぶしを作り訴えるように言い放つ。


(なんでこんなに一生懸命なのかしら?

それに先生は同一人物だって思ってるのね)


 これだけ印象が違うのに、別人だと思わなかったのだろうか。

みのりは説得を始めようとする麻里を見つめる。

すると、横合いから男性の声が聞こえてきた。


「それは大変だ。

恩人は恩人でも危険なことは許すわけにはいかないね」


 わざとらしく声を張り視線を集める高松へ、

みのりは訝しげな視線を送る。


(この人なんなのかしら?)


 高松が登場してから碧の様子も、

連れてきた本人であるはずの麻里の様子もおかしい気がする。

見た目は融通の利かないお役所仕事が得意そうな男にしか

見えないが、何か秘密があるのだろうか。

しかし高松の発言は朔太郎にはどうでもいいことだったようだ。

高松を一瞥することもなく麻里を凝視している。


「お嬢さんは孫を知ってるんだべか?」

「あ、はい。2回ほど助けていただきました」

「満が? お嬢さんをだべか?」


 照れ臭そうに頬を染め頷く麻里へ、

邦夫が瞳を見開き瞬きを繰り返した。










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