Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
D
収拾がつかなくなった老人たちの謝り合戦に終止符を打ったのは、
麻里だった。
「満さんは悪くありません! きっと深いわけがあったんです」
きつくこぶしを作り訴えるように言い放つ。
(なんでこんなに一生懸命なのかしら?
それに先生は同一人物だって思ってるのね)
これだけ印象が違うのに、別人だと思わなかったのだろうか。
みのりは説得を始めようとする麻里を見つめる。
すると、横合いから男性の声が聞こえてきた。
「それは大変だ。
恩人は恩人でも危険なことは許すわけにはいかないね」
わざとらしく声を張り視線を集める高松へ、
みのりは訝しげな視線を送る。
(この人なんなのかしら?)
高松が登場してから碧の様子も、
連れてきた本人であるはずの麻里の様子もおかしい気がする。
見た目は融通の利かないお役所仕事が得意そうな男にしか
見えないが、何か秘密があるのだろうか。
しかし高松の発言は朔太郎にはどうでもいいことだったようだ。
高松を一瞥することもなく麻里を凝視している。
「お嬢さんは孫を知ってるんだべか?」
「あ、はい。2回ほど助けていただきました」
「満が? お嬢さんをだべか?」
照れ臭そうに頬を染め頷く麻里へ、
邦夫が瞳を見開き瞬きを繰り返した。
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