Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
H
「私その話ぜひ聞きたいです!」
一瞬の沈黙のあと切り出してきた麻里の声が室内に響く。
麗がパチパチと瞳を瞬かせたあと首を傾げた。
「その話って、
さっきの梅田のみ様と朔ちゃんのご先祖様の話のことかしら?」
「はい! ぜひ!」
ブンブンと音が鳴るくらい激しく上下する麻里を
麗が微笑ましそうに眺めている。
(なんで先生が勝手に話を進めちゃうのよ?
雪姫と関係ない言い伝えなんか聞いてる暇なんてないのに……)
みのりは長老たちからは見えないよう麻里を睨みつける。
しかしこれから聞かされる話を想像しているのか、
上の空の彼女と目が合うことはなかった。
舌を打ちたくなる衝動を抑えながら苦々しく思っていると、
軽やかな笑い声が聞こえてくる。
「ふふふ。いいわよ。
昔、まだ朔ちゃんのご先祖様が獣人になる前の話だそうよ」
「はい!」
ハキハキとした麻里の返事に、みのりは内心でため息をついた。
(仕方ないわね。
こうなったら昔話の中から黄金梅のヒントになるようなものを
見つけ出してやるわ!)
みのりは話に集中しようと、少しだけ前のめりになる。
そして麗を見た。
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