Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




H




「私その話ぜひ聞きたいです!」


 一瞬の沈黙のあと切り出してきた麻里の声が室内に響く。

麗がパチパチと瞳を瞬かせたあと首を傾げた。


「その話って、

さっきの梅田のみ様と朔ちゃんのご先祖様の話のことかしら?」

「はい! ぜひ!」


 ブンブンと音が鳴るくらい激しく上下する麻里を

麗が微笑ましそうに眺めている。


(なんで先生が勝手に話を進めちゃうのよ?

雪姫と関係ない言い伝えなんか聞いてる暇なんてないのに……)


 みのりは長老たちからは見えないよう麻里を睨みつける。

しかしこれから聞かされる話を想像しているのか、

上の空の彼女と目が合うことはなかった。

舌を打ちたくなる衝動を抑えながら苦々しく思っていると、

軽やかな笑い声が聞こえてくる。


「ふふふ。いいわよ。

昔、まだ朔ちゃんのご先祖様が獣人になる前の話だそうよ」

「はい!」


 ハキハキとした麻里の返事に、みのりは内心でため息をついた。


(仕方ないわね。

こうなったら昔話の中から黄金梅のヒントになるようなものを

見つけ出してやるわ!)


 みのりは話に集中しようと、少しだけ前のめりになる。

そして麗を見た。










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