Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
I@
「梅田のみ様ってあの方のことよね?」
「きっとそうでしょうね」
周囲には聞こえないように囁く。
だが、高松には聞かれてしまったようだ。
碧の返事を遮る勢いで割り込んできた。
「誰だい?」
「君には関係のないお方ですよ」
「ふん」
間髪入れずに素っ気ない態度をとる碧へ
高松が苛立たし気に鼻を鳴らす。
(碧の態度で相手にされなってわかっているはずなのに
なんでわざわざ会話に入ってこようとするのかしら?)
まるでこちらから情報を探り入れようとしているかのようだ。
(腑に落ちないのは、黄梅学園に都の人間が関わっていることよね)
黄梅学園は元々、どんな願いも叶うと言われている黄金梅の偉大さや
それを守る一族のことを幼い頃から学ばせるために設立された学園だ。
平和になり自分本位となってしまった市民たちへ
『黄金梅の恩恵で生かされている』という事実を再認識させるために
必要な場所だ、と現当主である母が祖母の反対を押し切ってまで
設立した機関である。
(それだけ入れ込んだ場所へ都の人間なんていれるかしら?)
自問しつつすぐに否定の言葉が脳裏に浮かぶ。
あの母のことだ。利にならないことをするはずがない。
みのりは高松へ気づかれないようそっと彼を盗み見た。
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