Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
IA
(お母様のことだもの。きっと何か意図があるはずなんだわ)
外部からの人間が入ることで現当主の理念が崩されてしまう
恐れだってある。
それだけのリスクを冒してまで踏み切った理由を
みのりは知りたいと思った。
(都の人間である高松さんや小越先生を使って
何をしようとしているのかしら?)
しかし子供のことなど顧みず、ただただ黄金梅のことだけに
心血を注いでいる母の考えていることなど思いつくはずもなかった。
(あーもう、全然わかんない!
こんなんだからお母様は私のことを見てくれないのかしら?)
気が滅入りそうな思考から抜け出せず、
みのりは眉間に皺を寄せる。
ふいに太ももの上に置いた手の甲へ温もりを感じた。
興奮すると猪の足に変化してしまう小さな紅の手だった。
(今はそんなことを考える時じゃないわよね)
みのりは心配気な表情で窺ってくる紅を安心させるため微笑んだ。
どのくらい自分の考えに没頭していのかはわからないが、
それほど長い時間ではなかったようだ。
三長老たちが順番に引き継ぎながら語られている言い伝えは
まだ続いていた。
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