Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
E
山波を協力者にしたとき、
容易に加えたことを碧は諌めてきたほどだ。
それを押しきって彼と彼の娘とその恋人を協力者へ加えたのは
紛れもないのは自分自身だった。
「そういえばそうだったわね。
つまり、裏切りじゃなくて、
元々の仲間に報告しただけかもしれないってことよね」
「推測に過ぎませんがね。
単に見張っていたら黄金梅を実らせようとしていたから
邪魔をすることにしたのかもしれませんし」
せっかく納得したというのに、すぐさま別の意見を言ってくる。
みのりは眉間に皺を寄せた。
「ちょっと、それじゃ何もわからないってことじゃない!」
「そうなんですよねー」
まいった、まいった、と呑気に笑い出す碧を睨みつける。
「ちょっと! 私は本気なんだからからかうのはやめてよね!」
「からかってなんかいませんよ。
本当にわからないだけなんですから」
碧が心外だと言わんばかりに眉根を下げる。
他の人間がその表情を見れば、すぐ彼に同情してしまうだろう。
だが、自分にはあの表情ですらも胡散臭く見えてしまう。
じろりと睨みつけるような視線を向けると、碧は真面目な顔つきに戻り、
話を続けた。
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