Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
三
IE
「立派じゃないのはご先祖様と梅田のみ様のせいじゃねぇべ。
すべてあいつを育てたわしの責任だべ」
背中を丸めて小さくなっている朔太郎氏を見ているのは忍びない。
麻里は思い切って、でも、と口火を切った。
「いいお話ですね」
口からでたのは、ありふれた感想だった。
気の利いたことが言えず密かに落ち込んでいると、
みのりが吐息とともに言葉を紡ぐ。
「梅田のみ様にそんな言い伝えがあったなんて……碧は知ってた?」
視線を送るみのりに対し、碧がかぶりを振る。
「いえ。獣人が関わっている伝承はほとんど本家には残されておりませんから」
碧の答えに反応したのはみのりではなく高松だった。
「そうか。やっぱり君のご先祖なのか」
何故そんなことを高松が知っているのだろう。
尋ねようとするが、
碧と高松の間に流れる不穏な空気に気圧され、入っていけない。
結局、碧は黙したまま何も答えようとせず、代わりに紅が小さく呟いた。
「……八蜘蛛神社」
「紅、八蜘蛛神社がどうしたの?」
みのりが隣にいる紅を覗き込むと、その隣の碧が軽く手を打った。
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