Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




F




「ただ1つだけ確実なことは、我々の目的を邪魔するものが

いるということです」

「邪魔者、排除するだけ」


 碧の言葉に紅が攻撃的なセリフを返す。

紅の口からそんな答えが出てくるとは思いもせず、

みのりはハッと息を飲み込んだ。

一瞬の沈黙のあと、隣から手を叩く音が聞こえてくる。


「さすがは僕の紅! そのとおりです」


 君は世界一だ、と紅を抱きつこうとする碧のふざけた態度に、

みのりは突っ込みを入れた。


「行き当たりばったりじゃないそれ」

「お嬢様には言われたくありませんねー」


 紅に拒絶されがっくりと肩を落とした碧が半眼でこちらを見てくる。

今回の家出のことについて言いたいのだろう。

碧が止めなければ計画もしないまま家を飛び出そうと

していたことを思い出し、みのりは彼から目線を逸らした。

小言という名の嫌味に備えようと身構えるが、

取り越し苦労だったようだ。

碧はため息を吐くと、先ほどまで話の結論を口にした。


「ですが実際問題として昨日のメンバーと協力することは

決定事項ですし、妨害者がどの組織の人間なのかも

わからないですからね、仕方ありませんよ」

「……結局、なるようにしかならないってことよね。

それだったら黄金梅を早く実らせることに集中した方がいいわね!

碧、急いでホテルに戻りましょう。

そして山波さんに連絡を取るのよ!」

「そういうと思いましたよ。ちょうどいいタイミングですね。

タクシーが到着しました」


 いつの間にタクシーを呼び寄せていたのだろうか。

迎車と点灯している緑色のタクシーが目の前で停まった。










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