Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




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 みのりは、痛む胸を紛らわすように胸元へ手を当てながらも

二人の会話を聞き逃さないよう耳をそばだてる。


「まあ、そういうことにしておいてやるよ。

で? そんなことのためだけにわざわざ来たわけじゃねーんだろ?」

「だから、さっきから言っているが

君のほうの計画の進捗状況を聞きたいんだよ。

何しろあっちに高松も来ているんだろう?」


 市長から飛び出した言葉に目を見開く。


(高松! あの男も関わっているというの?)


 やはり都の教育委員会というのは嘘なのだろうか。


(でも市長だったら教育委員会と面識があっても

おかしくはない、か……)


 麻里が連れてきた怪しい男の正体がわかるかもしれないと

期待したが決定打にかける。

仮に、高松が市長の息がかかった存在だとして

彼らの目的はなんなのだろうか。

獣人とも関係していることも考えると、

本家への裏切りが一番妥当な線に思える。

しかし、市長に対して喧嘩腰で接している満の態度が引っかかり

考えをまとめさせてくれない。


(あーもう、なんなのよ)


 みのりは次から次へと上書きされる情報に思考が追いつかず、

頭を掻き毟りたくなった。










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