Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




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「とぼけんのもいい加減にしろよ、

あんたが電話連絡だけで済むようなことに

わざわざ足を運んでくるほど暇な人間じゃねーことくらい

こっちは知ってんだよ!

だいたいあのいけすかねー野郎はなんだってんだよ。

いちいち麻里になれなれしくしやがってよ」


 がなり立てる満に、市長が眉間に皺を寄せる。


「なれなれしい? それはよく知らないが、奴は梅宮の血族だ。

彼の動向を知っておきたいんだよ。

あと、君が本当は何をたくらんでいるのかも、ね」

(どういうこ?)


 市長からもたらされた新情報に、みのりは彼を凝視する。

しかし、それは満も同じだったようだ。

声を裏返しながら、市長へ詰め寄った。


「あの野郎が梅宮の血族! それは本当の話なのか!」

「もちろんだとも。まあ、もっとも、別腹の子ではあるが」


 満面の笑みで応える市長と嬉しそうに笑っている満の声が響き渡る。


「別腹ってことは、当主の隠し子じゃねーってことか。

ハハハハ、こいつはいいことを聞いたぜ!」

「当主じゃない。それはありえない。

だからこの事実は次期当主も知らないかもしれない」

(どういうこと?

別腹って高松がお父様の子供かもしれないってこと?)


 子供のことを顧みない両親だが、夫婦仲は円満そうに見えていた。

しかし、それすら自分たちを欺けるための芝居だったのだろうか。

衝撃的すぎる市長の話に、みのりは愕然とする。

とまることなく続いている彼らの話は

どこか遠くから聞こえくるかのように、耳を素通りしていった。










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