Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
一
G
「ところで涼介君ではなく、山波さんでよろしいのですか?」
果杷駅近くにある滞在していたホテルの部屋に戻るや否や
告げられた碧からの言葉に、みのりは素っ頓狂な声をあげる。
「なんであいつに連絡を取らないといけないのよ!
山波さんとは協力していくけどあいつと協力するなんて
一言も言ってないでしょう!
だいたいあの男は市長の命令で勝手についてきただけなんだから」
「そういえばそうでしたね。では少し失礼します」
鼻息を荒く睨みつけるが、
碧はくすりと笑って座っていた椅子から離れ電話を取り出した。
特にすることもなかったため、
みのりは電話をかけている碧の声に聴き耳を立てる。
「もしもしわたくし梅田碧と申しますが、
山波善郎さんのお宅でしょうか?……よろしくお願いいたします」
すぐに山波の家へ繋がったようだ。
しかし、山波以外の人が電話に出たらしい。
山波は不在なのだろうか。脳裏に最悪の事態がよぎった。
(もしかしてあのあと捕まっちゃったのかしら?)
やはり最後まで誘導すればよかった。
自責の念に駆られ俯くと、碧の安堵が混じった声が聞こえてきた。
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