Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




H




「あの野郎は次期当主に都の教育委員会だって言ってたが、

あれは嘘だろう?

  あんたはあの野郎の本当の職場を知ってんじゃねーのか?」

 満の言に麻里は息を呑む。高松の嘘の役職について気づいているとは。

(どうしよう……)

 確かに今の時期に都の教育委員会が視察に来るというのも変な話だ。

第一、この市はよその人間を許可証なしで安易に中へ入れてはくれない。

(ん? でも、そういえば私もすぐに許可が下りたっけ……)

 辞令のでた次の日には許可証を貰っていたのに何も疑問に思わなかったが、

あれはおそらく梅宮の特権でも使って高松が雅秋に掛け合ったのだろう。

(私って、本当になんにも知らないのね……)

 高松、と名前を梅宮から変えているからにはそれなりに強い想いがあるのだろう。

(きっと、兄妹かもしれない梅宮みのりをどうにかして助けたいってことなのね)

 その気持ちならわかる気がする。

自分も満を憎しみから救えるなら、どんなことでもするつもりだ。

(満さんには迷惑かもしれないけど)

 だが、自分を助けてくれた恩人が一人苦しんでいるのを見過ごすことはできない。

(それに、できれば、と、友達になりたいし!)

 自分のことを「友」と思ってくれるかは疑問だが、

そうなれるように努力したい。

(まあ、難しいかもしれないけど……)

 険しい満の面を思いだし深く吐息していると、雅秋が声をあげた。










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