Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
I
「都の人間であることは確かだよ。
だが、首都再計画執務室の室長、という肩書らしいがな」
雅秋の答えに麻里はがっくりと肩を落とした。
やっぱりばれていた。
梅宮みのりの教育係と会った時点で、
雅秋と高松につながりがあることは薄々気づいていたのだが。
(あんなにあっさり教えちゃわなくてもいいじゃない)
これじゃあますます満に嫌われてしまうではないか。
小さく唇を尖らせていると、満の案の定な答えが聴こえてくる。
「なるほどな。結構な肩書を持ってやがるから、
麻里を学園へねじ込めたってわけか。納得したぜ」
腕を組む満に雅秋がくすりと笑んだ。
「ま、ねじ込めるように用意はしたさ。さあ、君のほうの情報も渡してくれるよな?」
意味ありげな視線を送る雅秋に満が、だから、と顔を顰める。
「さっきから言ってんじゃねーか。すでにお前に言った情報しかねーって!」
面倒くさそうに告げる満を前に、雅秋が吐息する。
「確かに。それはさっきも聞いたよ。
だが、何も梅宮みのりたち一行を追い回しあまつさえ銃で
攻撃するっていうのはいくらなんでもやりすぎではないのかな?」
軽い非難を含んだ雅秋の言葉に、麻里は一瞬呼吸を止めた。
(あれを……満さんが……!)
あまりの衝撃にめまいがする。
(そこまで人間が憎いの……?)
怒りとも悲しみともつかない何かが湧いてきてわなわなと唇を震わせていると、
満が鼻を鳴らした。
「ハンッ、やりすぎ? あんなのかわいいもんだろう?
それにどんな方法をとってもいいって言ったのはあんたのほうじゃねーか」
揶揄を含んだ満の発言に麻里は唇を噛む。
それは雅秋が弟と次期当主を、満が律子を襲い人間を狙ったということに他ならない。
(高松室長に……高松室長に知らせなくちゃ)
だが、まだ話は続いている。
情報は必要だ。麻里は柱にしがみつくようにして、前方の2人を覗った。
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