Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
IH
「麻里! ……今の話聞いてたのか?」
驚き口惜しそうに尋ねてくる満を見たとたん、
言い知れぬ怒りが込み上げ麻里は叫んだ。
「そんなことはどうでもいいんです!
それより私たちを襲ったのが満さんの差し金だったっていうのは
本当なんですか?」
否定してくれないだろうか、と微かな望みとともに問いかけるも、
満が視線を外してくる。
「今の話を聞いてお前がそう思ったんなら、そうなんだろうな」
軽く視線を明後日に向け告げる満へ、
麻里は胸が締め付けられる想いに駆られた。
「なんでそんなひどいことをするんですか! 満さんはそんな人じゃないはずなのに……」
誰かに命令されたのだろうか。
それとも脅されたのだろうか。
どちらにしても、あんな酷いことを満の一存でするはずがない。
(本当のことを言って!)
だが、思いが空回って上手く言葉がでてこない。
悔しさに唇を噛み締めていると、満が吼えた。
「お前が俺の何を知ってんだよ! 俺はお前が思ってるような奴じゃねーよ!」
満の苦しげな叫びに対し、麻里は激しく首を左右に振る。
「いいえ! 満さんは優しい人です! それよりなんですか!
今のは市長の梅畑雅秋でしょう? 彼が話していたことは本当なんですか?」
指を突きつけて満へ詰め寄ると、満が露骨に眉を顰めた。
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