Gold Plum





第四章


疑惑


〜みのり&麻里の場合〜




II




「お前はずっとそればっかりだな。それよりもあの男のこと知ってんのか?

もし知り合いならあんまりやつを信じないほうがいい。

あの人間は嘘をつくのがうめーからな」

 苦虫を噛み潰したかのように忠告してくる満を見て、

麻里はやはり、と一人頷く。

(なんだかんだ言って優しいんだから)

 胸のつかえが取れた気がして、麻里はさらに満の傍へ寄る。

「ならあの話は嘘なんですね?」

 願いを込めて満を見つめると、満が更に顔を背ける。

「どうだろうなー。お前はどっちだと思う?」

 質問に対し質問で返してくる満へ、だが麻里は口角をあげてみせた。

「じゃあ嘘なんですね!」

 視線を合わせてこない満が嘘をついていることは明らかだったが、

麻里は自分の都合のいいように解釈することにする。

(だって、満さんは悪い人じゃないもの)

 彼にどんな理由があるのかは知らないが、

いつか話してくれるくらい仲良くなれたらいいと願わずにいられない。

彼の孤独に触れることが、

どれだけ彼のプライドを傷つけることになるかは未知数だけれど。

(それでも力になりたい……)

 みんなで知恵を絞れば、全員にとっていい答えがでるかもしれない。

願いとともに満を見つめると、満が下を向き小さく吐息する。

「どの話のことだかはわからんが、お前がそう思うならそうなんだろうよ」

「そうですか、わかりました。満さんを信じます」

 だから、いつか本当のことを話してほしい。

麻里は想いを込めて口元に浮かべた笑みを深くした。










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