Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
IIC
(前後の話がわからなかったから私てきにはラッキーだったけど、
長って不器用ね)
麻里へ好意を寄せていることは、誰の目から見ても明らかだ。
今だってもっと近づいて話したいに違いない。
それでもそうしないのはやっぱり麻里が人間だからだろうか。
(獣人と人間の恋ってままならないのね……)
ふいに芽衣子と飛田ことが頭をよぎった。
あの二人は想い合ってはいるが、
芽衣子の父である山波に反対されている。
飛田が人間だったら山波だってあんな態度はとっていなかっただろう。
(やっぱり黄金梅なんてものがあるからいけないんだわ)
あの実がすべての元凶なのだ。母である現当主、梅宮美都子を始め、
ここの住民たちは皆黄金梅に囚われ過ぎている。
あんな実がなくても幸せな生活は送れる。
きっかけさえあれば住民たちだって気がつくはずだ。
この黄梅市が異様だということに。
そのためにも黄金梅なんてものはなくしてしまったほうがいいのだ。
(過去は変えられなくても、未来はいくらでも変えられるわっ!)
みのりはぎゅっと手を握りしめ、決意する。
形振り構っている暇はない。今はどんな些細な情報だって必要だ。
みのりは堂々とした出で立ちで麻里を見ている満の背中をじっと見据えた。
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