Gold Plum
第四章
疑惑
〜みのり&麻里の場合〜
四
IIE
「あの野郎って誰ですか! 私はいつだって……!」
「誤魔化すんじゃねーよ。俺は知ってんだ!」
麻里の言葉に被さるように満の怒号が飛ぶ。
ビリビリと振動すら伝わってきそうなほどの大きさに
麻里が微動だにしなくなった。
それを肯定と取ったのか、満が言い聞かせるように語り出す。
「それにこの間言ったよな。次に会ったときは敵同士だって……
まさか昨日の今日で会うとは思ってなかったけどな」
ハハハと笑う声は、どこか物悲しかった。
そんな満の姿を麻里は眉間に皺を作りながら見つめている。
「私はいつだって正しい人の味方です! だから今は!
……今はみのりさんの味方です……」
啖呵を切った麻里だったが、最後のほうは尻すぼみになっていた。
自分でも説得力に欠けると思っているのかもしれない。
それでもみのりには十分だった。
(私の味方? なぜ?)
みのりは困惑する。
麻里の言う『正しい人』に、自分が当てはまっているとは
到底思えなかったからだ。
彼女は何を基準に正しいか、そうでないかを判断しているのだろうか。
皆目見当もつかなかった。
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