Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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「いやいや、ゲームじゃなくてね。言い伝えのほうだよ」

　冴島が決まり悪げに頭をかく。

古びたこげ茶色の本を広げ指を差すと、野木崎が問いかける。

「言い伝えってことは、先ほどの昆虫と話しができたというやつですか？」

　野木崎の質問に冴島が深く首を縦に振る。

「ええ、そうなんですよ。ちょっと読みますとね。

ええっと……『太郎は森の動物たちに言葉を教え、様々な知恵を授けた。

そんなある日、八匹の蜘蛛が太郎の元へやってきた。

話を聞くと、何やら餌場の取り合いになってしまったというのである』

といったわけでしてね」

　文献を確認しながら説明を始める冴島を前に、太一が疑問を口にする。

「太郎さんが動物たちの先生になったの？　雪姫様じゃないんだ」

「そう！　そこなんだよ！　そこが違うんだよなあ！

面白いよねえ！　これがいいんだなあ！

あ、他にも獣人と人間の娘の恋話もあってね」

　陶酔しきった様子で語る冴島を見て、涼介は嘆息した。

一度こうなってしまうと元の話に戻るのが遅くなってしまう。

それに獣人と人間との悲恋話はあまり追及しないほうがいい話題だろう。

「先生、それ、先生より知ってる人がここにいますから……」

「それ！　それなんだな〜！　データがほしいんだけとなあ〜！」

　一呼吸おいてから冴島に話を変えるよう促すと、冴島が左手をだしてきた。