Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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（お兄ちゃんとおばちゃんだけわかっててずるいよ……）


　太一が不貞腐れていても、誰一人として気づいている様子はない。

それどころか佳境に入った冴島の話を聞き漏らすまいと

真剣な顔を向けている。


「『蜘蛛たちは大変喜び、太郎に大いに感謝した。

以来、蜘蛛たちは太郎の恩に報いるため、

八角形の家で太郎を崇め太郎の意思を継ぎ梅の名を冠する者のために

八方の糸により繭を作った。梅の名を冠する者どもはこれを喜び、

藤の端の田畑を守り、社を大切に祀ったという』

……っていうのが、君の住む地域に伝わる昔話だね、梅畑君」


　やり切ったと言わんばかりに満面の笑みを浮かべる冴島へ

涼介が頬を指でひっかきながら苦笑いを向けた。


「はあ……。でも、俺はそれを聞いて育った覚えはないんですよ。

俺が聞いてたのはもっぱら獣人の話とか雪姫様の話で……」

「梅畑君が聴いたことない話なんだから私が知らなくても当然ね」


　律子が開き直るかのように言い切る。

しかし太一も彼女の言うとおりだと思い直した。