Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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（面白い先生だったなー。冴島先生って）


　太一はエントランスホールでエレベーターを待ちながら、

ニコニコと手を振り見送ってくれた冴島のことを思い出していた。

まさか祖母と同じくらいの人とあんなに楽しくおしゃべりが

できるとは思っていなかった。


（今度会ったら、どの選手が好きか聞いてみたいな）


　わざわざ黄梅から出て観戦しに行くくらいだ。

きっとお目当ての選手がいるに違いない。

そんなことを考えながら２基あるエレベーターの

どちらが降りてくるのかを眺めていた。

上の階で乗り降りでもしているのか一向に動く気配のない

エレベーターに太一は、上げていた顔をおろす。

ふとボタン下に置かれている銅像が目に入った。


「あれー？　これって美都子様？」


　来たときは涼介の背中ばかりを見ていたから

見落としていたらしい。

髪をおろした女性が目をつむったまま梅の木を優しく

抱え込でいる姿の胸像がそこにあった。

校長室に飾られている当主様の絵とは少し違うため確証が持てず、

太一は首を傾げながら涼介へ視線を向けた。