Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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「兄さん？　お兄ちゃん。この人、お兄ちゃんのお兄ちゃんなの？」

　太一の問いに涼介は素直に頷く。

「うん。俺の二番目のお兄さんだよ。雅仲っていうんだ。よろしくね」

　近づいてきた雅仲を簡単に紹介すると、雅仲が太一へ向かい腰をかがめた。

「初めまして。涼介と仲良くしてくれているのかい？」

　雅仲の質問には答えず太一が目をしばたたかせる。

何か想うことがあったのか雅仲と自分を交互に見ると、

無邪気に口元を綻ばせた。

「へえ、そうなんだ。あ、初めまして！　吉田太一です。６年生です」

　笑顔とともに元気よく挨拶をする太一に倣い、

野木崎がおもむろに口を開く。

「あのー初めまして。

野木崎律子と申します。縁あって弟さんにお世話になっております」

　窺うような目つきの野木崎を前に、雅仲が小さく会釈した。

「お初にお目にかかります。梅畑雅仲です。愚弟がお世話になっております」

「これはご丁寧に」

　お互いに一礼し合う２人を見て、涼介は溜め息を吐く。

長兄の雅秋へ報告せず動いていることを知られたら、

みのりの計画が無駄になる。

（あまり話を長引かせるわけにもいかないな……）

　涼介は小さく頬を掻き、先手を打つことにした。