Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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　ひどく緊張している様子の涼介とは正反対に、

和やかに笑っているこの人は一体誰なのだろうか。

太一は内心で首をかしげた。


「久しぶりだね」


　こげ茶色のサラサラとした髪を揺らし

涼介の肩を叩く姿はとても無邪気で、

涼介の兄と言われた雅仲よりもずいぶん若そうに見える。

だが濃紺の線が格子に入った紺色のスーツを

きっちりと着こなしている姿は、

先ほど知り合った冴島より貫禄があるように見えた。


「いやーずいぶん立派になってー。

お兄さんにはいつも助けてもらっているんだよ」


　それほど親しい関係ではないのかもしれない。

青年の言葉に涼介の目が丸くなる。


「え？　次兄に、ですか？」


　涼介が真意を確かめるかのように、まじまじと雅仲を見つめた。

しかし、涼介の無言の訴えは彼の兄には届かなかったようだ。

微笑んだままでいる忠信様と呼ぶ青年へ向かって

うやうやしく声をかけた。


「忠信様、先ほどの話とは？」

（忠信様？　ってことはあのお兄さん偉い人なのかな？）


　太一はピリピリとした空気を張り巡らせている

三人に気づかれないよう律子へこっそり話しかけた。