Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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「あ、エレベーター。行っちゃったね」

　いつの間にか下がっていってしまったようだ。

点灯する番号を見て涼介は頬を掻く。

「本当だ……。しょうがない、またもう少し待とうか」

　出て来る人間の人数と思わぬ人物の登場に面食らってしまった。

（適当に会釈して乗り込めばよかったかな……）

　密かに反省していると、野木崎がくすりと微笑む。

「本当ね。まさかこんなところで梅畑君の親族に会うとは

思ってもみなかったわ」

「俺も思いもしませんでしたよ。いつも会わないから油断してました」

　野木崎の言葉に涼介は自嘲した。

　家以外で身内に会うことなどめったにないのに、

なんだって今日に限って大人数とすれ違わなければならないのだろう。

「ふふふ。そうよね」

　何が愉快なのかわからないが、野木崎が肩を揺らす。

野木崎にも複雑な事情があるということなのだろうか。

問いただしてみたいが、また黙秘されてしまう可能性を考え口を閉ざす。

すると、太一が興味深げな表情で見上げてきた。