Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「ちょうどバスがあってよかったですねー」


　涼介がほくほく顔で乗ってきたバスを見送る。

律子が感慨深気に同意した。


「本当ね。バスのありがたさが身に染みたわ」

「大学まで歩き通しだったですからねえ」


　しみじみと言ったふうに話す涼介に太一は話しかける。


「ぼくこんなほうまできたの初めて」


　バス停から歩くこと数十秒で目的地である八蜘蛛神社へ

たどり着いた。石でできた大きな鳥居を３人で一緒にくぐる。


「そっか。じゃあ、今度みんなでうちへ遊びにおいでよ。

姪っ子や甥っ子も喜ぶし」


　薄茶色の土が目立つ殺風景な境内を歩きながら

涼介がにこりと微笑む。太一は手を叩き、青年と向き合った。


「あ、さっき言ってたね。お兄ちゃんの家この近くなんでしょう。

どこにあるの？」


　きょろきょろと見渡す。

鳥居から直線上に進むと石段あり、その頂上には社が建っていた。


（うーん、ここからじゃお兄ちゃんの家は見えないのかも。

あっちへ行ったら見えるかな？）


　段上にある社側は見通しが悪い。

だが、下がった位置にある鳥居のほうはよく見えた。