Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「本当ですね。太一君、君ってマジで人文系の才能あるのかも」


　冴島教授の見立ては間違っていなかったようだ。


（これなら本当に研究者に向いてるかも）


　観察眼だと言うなら警察でもいいかもしれないが。

大人になった太一をなんとなく想像していると、

だって、と太一が腰に手をあてる。


「先生の話面白かったし。でも覚えてないのはおばちゃんだけだよ。

お兄ちゃんだって覚えてたでしょう？」

「うーん。けど、俺の場合前に少しだけ聞いたことがあるからなあ」


　自分も昔の伝承などに興味はあるが、

どちらかと言うと祖父母からの刷り込みのような気がしないでもない。

何しろ物心ついた時にはすでに祖母から古文書を叩き込まれていたのだ。


（あの人がなんであんなことを強要したのかは謎だけど）


　長兄がいるのだから、三男坊である自分がやる必要があるとも思えないのだが。

嫌な思い出が蘇り、重い溜め息を吐いていると、隣にいた野木崎がかぶりを振った。


「これが若さってことなの……で、でも私だって覚えてるわよ。繭があったわ。繭が」


　野木崎の言葉に涼介は手を打つ。


「そうか！　繭か！」


　室内に繭ができるということだろうか。

そこまで考えて、はたと気づく。


「でも、あれって八角形の家の中だから……。あーもう、面倒なんで、あの社見てみます？」


　このままでは埒が明かない。


提案してみると、太一が元気よく頷く。


「見てみよう！」

「そうね。百聞は一見にしかずって言うし。そうしましょう」


　野木崎にも同意され、涼介は広角を上げる。


「じゃあ、行ってみよう！」


　涼介は先に駆け出した太一について階段を登った。