Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「ぼく、いっちばーん！」


　太一は階段を駆け上がり、人差し指を空へ突き刺した。

くるくる回転しながら喜びを表していると、

すぐに涼介たちがやってくる。


「元気だなー」


　青年が肩を竦め苦笑いを浮かべながら、社へ近づいて行く。

数段あがった先にこげ茶色の賽銭箱がある。

頭上には大きな金色の鈴とそれを鳴らすための白と赤で

よられている太い綱。なんの変哲もない普通の社だ。


　参拝を終えたあと涼介が賽銭箱の奥へ進み、中を覗こうと扉へ

手を伸ばす。だが、閉じられている扉はびくともしなかった。


「当たり前だけど、鍵がないから開かないみたいです」

「やっぱりそう簡単には入れないのね」


　涼介が錠前やら扉を見分している。それを眺めながら、律子が

頬へ手をあてぼやいた。


「どこに鍵があるんだろう？」


　普通に考えれば神主が持っているはずだ。

しかし、辺りを見回しても神主がいるはずの社務所らしき建物は

見当たらない。太一が内心で首をかしげていると、

涼介が思いもよらないことを言い出した。