Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「梅畑君が言ったから見つけられたのよ」


　あっさりと告げる野木崎に返って尊敬の念が募る。


「でも、見つけだす確率ってあるじゃないですか。

そういえば、梅の実もそうでしたよね」


　一番最初の種は野木崎がガーデニングをしている最中に見つけたと聞いた。


（さすがカリスマ主婦！）


　本人に言ったら逆に怒られそうなので言わないが、

涼介は野木崎に碧とは違う意味で驚嘆していた。


「あれも偶然よ」

「だからすごいんですよ」


　なんでもないことのように手をひらひらとさせる野木崎へ、

涼介は言い募る。

ここ一番という時に何かを手にする力は単純に運だけの問題ではない。


（たぶん無意識に掘りやすいところとかがわかっちゃうんだろうなあ）


　一人しきりに頷いていると、太一に袖を引っ張られた。


「ねえねえ、お兄ちゃん。このビー玉、幹の穴に入りそうだよ」

「え？　本当かい？」


　太一の言葉に涼介は目を見開く。

うん、と首肯され頬をかいた。

こんなに幸先よくていいのだろうか。


（あとで罠があるってことはないよな）


　嫌な予感を振り払うことに夢中になっているのを尻目に、

太一が野木崎にせがみだす。


「おばちゃん、入れてみて」

「わかったわ」


　頷いた野木崎がためらうこともなく穴へ飴色の玉を入れた。