Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

�I�D

「知人よ。知人。

あ、私の家はこっちだからここでお別れね。

それじゃ、梅畑くん昔話の質問の答えは今度聞くことにするわ。

太一くんのことよろしくね。太一くん、お母さんによろしくね」


　首を傾げながら太一が黙っていると、

律子があっけらかんと言い放つ。

そして車が途切れるいなや、足早に車道へ降りた。


「知人？　どういうことです！　野木崎さん！」


　あっと言う間に道路を渡り切ってしまった律子を

引き止めるかのように涼介が声をあげる。

しかし彼女は、向かい側の歩行者専用道路から大きく手を振ると、

そのまま背を向けて歩き出してしまった。


「……行っちゃったね、おばちゃん」

「うーん……これは追いかけるしかないかなあ……」


　腕を組みながら考え込む涼介の言葉に、太一は目を見張る。


「え、追いかけるの？　おばちゃん、何か悪いことでもしたの？」

「悪いっていうか……うーん……。ちょっとくわしすぎるなあって」


　少し強引に話を切り上げたようにも感じたが、

律子は涼介の疑問にも応えていたはずだ。

それなのに目の前にいる青年は腑に落ちていないようで、

眉間に皺を寄せていた。