Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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　太一は、一際太い銀杏の木を見上げる。

そして、隣に立つ涼介へ顔を向けた。


「お兄ちゃんこれが最後の木だね」

「そうだね。さあ、急いで探そう」


　涼介がしゃがみこみ根本を掘り始める。

しかし、律子が横入りするように持っていた木の棒を突き刺した。


「任せて！」

「頼りにしてます」


　涼介はあっさりと場所を譲る。

太一は目線の先でそれを捉えながら、

握ったままだった枝で土を掘り返す。


（ぼくだって負けないんだから）


　穴の真下を掘ればビー玉は見つかるはずだ。


（ぼくが一番に見つけちゃうもんね）


　やはり１人のときとは違い３人で掘るとあっという間に大きな

穴ができる。太一は、手に力を入れた。

硬い何かに枝先が触れ、太一は目を凝らす。


「あ、あったよ。おばちゃん」


　ビー玉を転がすように露出させると、涼介の驚く声が

聞こえてきた。


「マジで？　最後は太一君のほうが早かったか〜」

「早いわねー、太一君。これが若さ……」


　涼介に続き、律子がため息を漏らす。

哀愁漂うつぶやきに太一は首を傾げた。