Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


�I�G

（さっきまで元気だったのにおばちゃん、

どうしちゃったんだろう？）


　太一は急に俯いた律子に戸惑う。

しかし、それを尋ねる前に彼女は勢いよく首を横に振る。

そしてビー玉を摘まんだ。


「はい梅畑君最後のビー玉よ」


　律子が土を指で拭いながら涼介の手のひらにビー玉を乗せる。


「ありがとうございます」


　涼介はビー玉をギュッと握りしめると、ゆっくりと立ち上がる。

そして銀杏の木に掘られている穴へ、ビー玉を押し込んだ。


（これが８つの隅っこに住む蜘蛛さんってことでいいんだよね）


　太一は冴島から聞いた伝承を思い出しながら辺りを見回す。

すると、ビー玉を埋め込んだ小さな葉がついたばかりの銀杏の木々の

てっ辺から白い糸が社へ向かい伸びて行くのが見えた。

それはまるで蜘蛛が糸を吐き出し、巣を作っているようだった。

太一は口をポカンと開け、白い糸を見上げる。


「繭だ！　行ってみよう」

「う、うん」


　聞こえてきた涼介の声に、我に返った。

そうだ。これで終わりじゃないんだった。

太一は八方向の銀杏の木々から吐き出された糸の中心部である社へ

向かって駆け出した。