Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


六


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「お兄ちゃんどうしたの？

早く、みのり様に報告しなきゃ。きっと褒めてくれるよ」


　無邪気に笑いかけてくる太一の言葉に、涼介は呻く。


「う、え、そ、そう、かな？」

「うん。絶対褒めてくれるよ！」


　なぜそんなに自信満々なのだろう。

これ以上引き伸ばしてもいいことはなさそうだ。

年下の彼に促され、涼介は観念する。


「……わかった。じゃあ、かけてみるよ」


　肩を落として溜め息を吐く。

期待しているだろう熱い視線が注がれるのを感じ、涼介は覚悟を決めた。

これはもう、連絡を取るまで見つめられ続けるのだろう。

しかたがないと携帯を取り出し、碧の番号を検索する。

だが、肝心のところでタップする手が震えた。


「……ええっと……、今はちょっと、つ、疲れてる感じがしなくもないから。

とりあえず先に、俺の家でお茶でもどうですか？」


　怖気づいた、と正直には言えず太一たちを振り返ると、

野木崎が破顔した。


「そうね。それは嬉しいわ。

あのそれでお手洗いを貸してもらえると嬉しいんだけど……」


　賛同してくれるのが嬉しくて涼介は大きく頷く。


「はい！　もちろんですよ！　それじゃあ、行きますか」


　これで公開処刑は免れた。

そそくさと携帯をしまうと、太一が飛び跳ねる。


「お兄ちゃんちに行けるの？　やったー」


　屈託なく喜んでくれるのはありがたい。


（はあ、助かった……）


　涼介は命拾いした気分で胸をなでおろした。