Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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「それはあの子から直接聞いたのかしら？」


　まっすぐな視線を送ってくる美都子に、涼介はうろたえる。


「そ、そうではありませんが……」


　直接訊く必要もないほど明らかではないか。

出そうになる言葉をなんとか飲み込み姿勢を正していると、

美都子が小さく頷いた。


「ならあなたが勝手に思い込んでいるというわけね。

それともあなたがあの子のことが嫌いだからそんなふうにおっしゃるのかしら？」

「き！　嫌い……というわけではありません」


　嫌いなわけがないじゃないか。

叫びそうになる自分に戸惑いながら、なんとか平静を保つ。


（俺、何を言うつもりだったんだ？　嫌いじゃない？　ならなんだ？）


　なぜ叫んでまで否定しようとしたのだろう。

自分の行動が理解しきれず逡巡していると、美都子の明るい声がした。


「それならよかったわ」


　どうやら何がなんでもみのりと自分をくっつけるつもりらしい。


（そんなことしたらみのりの自由はどうなるんだ？）


　好きな人を好きだと言うこともできず、

好きでもない人間と一生一緒にいろと言うのだろうか。

それも好きな人を常に控えさせながら。

どう考えたってそんなのは地獄だ。


（まあ、本気でみのりさんが俺に惚れてると勘違いしてるみたいだしなあ……）


　どう言ったら美都子が納得してくれるのだろう。


「……参ったなあ……」


　頭をかいていると、美都子が目を細めた。