Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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「わたくしと夫も見合い結婚だったのよ。それはご存じよね？」


　美都子の言葉に涼介は頷く。


「はい。存じ上げておりますが……」


　だからどうだと言うのだろう。

首をかしげていると、美都子が小さく吐息した。


「恋愛結婚を否定するつもりはないのよ。

でもわたくしはお見合いで夫と会えたことを心から感謝しているの。それに……」

「はあ……」


　どこか遠い目をして語るその表情は殊の外穏やかで、

毒気を抜かれてしまう。


（この人は本当に忠臣様を想ってらっしゃるんだなあ）


　なんとなく羨ましく、涼介は美都子の横顔を眺め続ける。

いつか自分にもこんなふうに想える人間ができるのだろうか。

ふとみのりの横顔が頭をよぎり、心臓がどくりと鳴った。