Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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　言い方次第では敵意を持たれる可能性もある。だからといって、

今さら話を終えるというのは逆に不信感を与えかねない。


（でもそうね。何も知らされてないならちょうどいいわ）


　涼介に長兄に対する疑心を抱かせ、こちら側へ引き込んで

しまえばいい。美都子はじっと見つめてくる涼介の真剣な眼差しに

覚悟を決めた。


「これは確証もないただの噂話だと思って聞いて欲しいのだけど……」


　涼介の応答から間を置いて話し始めたことが良かったのだろう。

言いにくいことを話すというためらいに感じ取ったようだ。

青年は続きを促すように、力強く頷いた。


「はい」

「あなたのお兄様がみのりを落としいれて梅宮をのっとろうとして

いるという話があるの」

「兄が、そんなことを？　そんなはずは……」

「わたくしも一族のかたが本家を裏切ろうとしているだなんて

思ってもいないのよ。だから根も葉もない噂だと思っているのよ」


　まったく予想もしていなかったのだろう。目を丸くしたまま考え

込む青年に、美都子は悲しげに映るよう頬に手をあて顔を隠した。