Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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「そう。初めて見たときに驚いたでしょう？

次期当主である人間の隣に獣人がいて」


　物言いたげな美都子の発言に涼介は首をかしげる。


「は？　いいえ。獣人を見るのは初めてではありませんし。

あ、でも、みのりさんと物凄く仲がいいので羨ましくはありましたが」


　なんとなく非難げな言動だ。


（一緒にいることを命じたのはこの人じゃないのか？）


　意味がわからない。

涼介はそっと拳を握りしめる。

そんなこちらの様子を知ってか知らずか、美都子がふふふ、肩を揺らした。


「あなたは何でも羨ましく思われるのね。わたくしは驚いたわ。

まだ幼いあの子が獣を胸に抱えて帰ってきたんですもの」

「そんなに幼い頃からの友人だったのですね」


　的はずれな言葉だと自覚しながら告げる。

頭のどこかでアラームが鳴っていた。


（何かにズレがある）


　確信に近づきたくない。


（この人は、やはり、危険だ）


　兄、雅秋にも通じるその威圧感を目の当たりにして、

涼介は内心でそっと準備を整えた。