Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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　幼い頃、自分の世界を支配していたのは祖父と祖母、

それから雅秋だった。

祖父は往々にして優しく、涼介に様々な話をしてくれた。


「涼の字は大切な者にのみに継承されるものだ。

お前はいずれそのことを強く意識するだろうて」


　そんな言葉を折々に呟いていた祖父に、

自分はたぶん溺愛されていたのかもしれない。

だが、一方でそれを見ていた祖母と雅秋はその祖父の態度が

面白くなかったようだ。


「お前は梅畑のためにある人間なのですよ」


　口を開けばそんな言葉を言い募る祖母に、

自分はありとあらゆることを叩き込まれた。

祖母は自分の前ではぴくりとも笑わない厳しい人だったから、

なぜなのか、と人知れず涙したこともあった。

そして、そんな祖母の意思を汲み、

生活面をチェックしてきていたのが長男の雅秋なのだ。

雅秋は自分がまだ４つの頃から

「試練だよ」と称して様々な嫌がらせをしてくる人間だった。

可愛がっていた小鳥を蛇の餌にされた時は、

殺意を通り越して恐怖に震えたものだ。

まあ、あれも今にして思えば、愛情というものだったのかもしれないが。


（歪んでるんだよな……）


　涼介は目の前で酷薄に微笑む美都子を見つめながら、

内心で溜め息を吐いた。