Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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（まあ、それもあの子が生まれてから少なくはなったけど……）


　先代が自分のことを認めたのは、後継者であるみのりを産んだ

ときくらいだろうか。黄金梅をもたらした雪姫様と同色の髪色と

瞳を持つ娘を、母は片時も離さなかった。その姿に美都子は、

嬉しさよりも虚しさを感じた。

母だけではない。あの頃は、誰もかれもがみのりを見て雪姫様の

再来だと騒ぎ立てていた。

不可思議な力で黄梅を導いた初代様のことは尊敬もしているし、

畏怖もしている。だが、初代だけの力で黄梅が成り立ってきた

わけではない。雪姫様を支えてきた太郎様やその側近たち。そして

黄梅を守り続けてきた代々の当主たちやそれを支えた一族たち。

彼らの力なしには黄梅は成り立っていない。

現に百年前の大戦で黄梅は存続の危機に立たされたことがあった。

それを先々代の当主だった祖母と彼女に仕えた者たちが、

死に物狂いで阻止したのである。それにも関わらず、先代たちは

みのりを雪姫様の生まれ変わりだと信じ、ありもしない

特別な力を求めた。


（あの子は私の子よ！）


　雪姫様ではない。普通の人間だ。だからそのときに決心した。

夢物語のような幻想ばかりの理想を掲げていた先代のような

人間には絶対にさせない、と。