Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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　美都子は深く息を吐き出し、平静さを取り戻す。そして、口を

一文字に結んだままの涼介を見据えた。


「共存が可能ならすでに共存しているはずではなくて？」


　先代同様に甘い考えを持つこの青年の理想を、完膚なきまでに

叩き壊さなくてはならない。それが当主である自分の務めだ。

二度と共存などという愚かな考えを持たぬよう、徹底的な指導が

必要だ。


「それがなされていないということは共存なんてできない

ということではないかしら？」

「それは！　それは現時点ではそうです。ですが、美都子様。

美都子さまはそれを変えようとしているみのりさんの気持ちを、

愛娘の考えをないがしろにされるというのですか？」


　情に訴えるつもりだろうが、それは悪手だ。当主になったときに

そんな感情は捨てている。いや元々なかったのかもしれない。

だからこそみのりのことも娘としてではなく、後継者として

見ることができたのだろう。

美都子は涼介の問いを無視する形で別の問いを口にした。