Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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　発進された車を見送りながら、涼介は半ば方針状態だった。

正直言って、たった今気づいた想いに戸惑っている。

それでいて、どこかすっきりした気分でもあるのはなぜだろう。

どうにも滑稽だ。

だが、これからどうすればいいかだけはよくわかっている。

どうにかしてみのりの自由を取り戻し、

碧と添い遂げられるよう全力でサポートするのだ。

遠ざかる黒塗りの車を見つめながら拳を握りしめていると、袖を引っ張られた。


「お兄ちゃん大丈夫？」


　見ると、心配げに見上げてくる太一の姿があった。

涼介は慌てて微笑む。


「あ、うん。大丈夫だよ。待たせてごめんね」


　どうにも胸はうずくけれど、

それでもその意味がわからなかった頃よりはましである。


「何か言われちゃったの？」


　気遣うように尋ねてくる野木崎に涼介はかぶりを振った。


「大したことじゃありませんよ。

……それより、すぐにでも行動に移さないといけなくなったかもしれません。

俺はとりあえずみのりさんと連絡をとってみます」


　用件だけ伝えると、野木崎が目をぱちくりとさせた。


「え、そ、そうなの？　わかったわ」

「よろしくお願いします」


　何度か首を上下させ了解の意思を示す野木崎に、涼介は頭をさげる。


「みのり様に電話するの？」

「うん、そうだよ」


　問いかけてくる太一へ涼介は首肯し、携帯を取り出した。

すぐに碧の携帯を表示させ、タップする。

　耳にあて待つと三回のコールの後、碧の落ち着き払った声がする。


（ああ、やはりこの人にはかなわない）


　みのりの相手にこれほどふさわしい人間が他にいるだろうか。

おこがましいとは思いつつも敗北感でいっぱいになる。


（諦めが悪いな、俺も）


　自分ではみのりを幸せにすることができない。

そうだ。

わかっていることじゃないか。


「もしもし、碧さんですか？　涼介です」


　涼介は胸の中に去来する虚しさを無理やり抑え込むと、

碧へ自分の決意を語った。