Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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「ここまでくればもう大丈夫？」

「うん。かなりまいたはずだからね」

　問いに応えもう一人の姿を探すと、

遅れてきた律子が倒れんばかりにしゃがみ込む。

「……ぜぃ、ぜぃ、い、一生分、走った、わ……」

「これからどうしましょうか？」

　疲れているだろうことは承知の上で、律子に問いかける。

「こ、これから……？」　

　きょとんとした視線を投げかけてきた律子は、

意図を察してくれたのか大きく深呼吸した。

「そ、そうね……私はうちが心配だから帰りたいわ」

「そうですね。それじゃあ俺たちも一度家へ帰ります。

太一君、家まで送っていくよ」

　律子の提案にもっともだ、と涼介は頷く。

さすがは大人だ。

（この人あんな目に遭ったのにかなり冷静な人だよな）

　普通ならもう関わりたくないと怒鳴っていいくらいだ。

（いい人だなあ……）

　その分損をしてしまう部分もあるだろうけれど。

内心で深々と頷いていると、隣で太一が不満げな声をあげた。