Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「は、初めまして！　梅畑涼介と申しますが、

一晩お預かりしてしまった息子さんの太一君をお連れいたしました」

　母親の目を見る勇気はなく、直立不動で挨拶をする。

かちこちになりながら一礼すると、冷めた声が聞こえてきた。

「あなた、見たところお若そうだけど、一体なんなんですか？」

　ああ、やっぱりそう来たか。

涼介は内心で臍（ほぞ）を噛む。

わかっていたことだが、どう説明したものだろうか。

「は、はい。僕は太一君と親しくさせていただいている梅畑涼介と申します。

黄梅学園大学の３年です」

　顔をあげて太一の母を見ると、

うろんげな眼差しで見上げてくる瞳とぶつかり冷や汗を流す。

恐る恐る学生証を手渡すと、手に取った母親が目を見開いた。

「黄梅学園の……ちょっとまって、あなたの梅畑って苗字はもしかしてあの？」

　あの、という言葉にげんなりする暇もなく、涼介は強く首肯する。

「は、はい。市長の梅畑雅秋は僕の兄です」

　いつもなら疎ましく思う会話の流れも、今はむしろありがたい。

「あの、この度は大切な息子さんを無断でお預かりしてしまい

大変申し訳ありませんでした」

　改めて深々と頭をさげると、母親の声がより一層高くなった。