Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


�F

「ですが、全部本当なんです。

そのおかげで野木崎さんが捕まってしまって助けに行こうとした僕と太一君は

獣人に襲われてしまうし……申し訳ございません」


　毅然とした態度で説明する涼介の声が、

一美の視線が鋭くなるにつれだんだんと弱弱しいものに変わって行く。


「……ご、ごめんなさい」


　眉を寄せ、頭を下げる青年の横で太一も同じように頭を下げた。

だが一美には謝罪の言葉よりも、『野木崎』という言葉に反応を示す。


「野木崎？　野木崎って律ちゃんのこと？　捕まってってどういうことですか？

しかも襲われたなんて……ヤダ、ちょっとケガはないの？」


　一美が、目線を合わすようにしゃがんでくる。

そして傷がないかを確認するためか、全身をくまなくチェックしてきた。


「だ、大丈夫だよママ。それにおばちゃんも無事だったんだよ」


　太一はくすぐったさから身をよじり、母親の取り調べから逃れる。

それでもまだ安心できないのか、

触ってこようとする一美を止めたのはやはり涼介の声だった。