Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「昨日ね。太一を驚かせるために黙っていたんだけど、

あだになったみたいだったわ」


　眉を下げ悲しげな表情を向けてくる祖母に、太一はハッと息を飲んだ。


（ぼく、ばぁちゃんにも心配させちゃったんだ……）


　祖母を喜ばせるために取った行動のはずだったのに。

太一は今さらながら自分のした事の重大さに気づき始める。


（ぼく、いけないことしちゃったんだ……）


　肩を落とし、唇を噛んでいると

祖母へ話しかける涼介の声が聞こえてきた。


「太一君のおばあさんですか？　はじめまして、梅畑涼介と申します」

「初めまして。

それで、さっきいい獣人がどうとかおっしゃっていたのはあなた？」


　節子の口から『獣人』という言葉を聞き、

太一は下げていた顔を勢いよく上げる。


（ぼくお兄ちゃんにばぁちゃんの前で『獣人』の話は禁句だって

話したことあったかな？）


　今まで話したことを振り返ってみるが、焦るあまり何も思い出せない。


「あ、はい。昨日起こったことの説明をしていたところなんですが……」

「お兄ちゃん……あの、そのね…」


　そのまま説明を始めようとする涼介の声を遮るように

太一は青年へ声をかける。

だが、祖母の目があるため、

なんと言えばいいかわからず口ごもってしまった。