Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「一美さん。この方、本当に梅畑さんと言うのかしら？」

　淡々とした口調で太一の祖母が彼女の嫁へ聞く。

「学生証にはそう記載されてましたけど……」

「ぼ、僕は正真正銘梅畑涼介です」

　すかさず学生証をさしだすが、太一の祖母が鼻を鳴らした。

「学生証なんて簡単に偽造できるでしょう？　それに……」

　含みを持った視線で見つめられ、涼介は身を硬くする。

次の言葉は容易に想像できたが回避する方法を持ってはいなかった。

「市長にまったく似てないわ」

　やっぱり、と涼介は内心で溜め息を吐く。

そんなことを言われても正真正銘血のつながった兄なわけで、

こればかりは何を言われてもしかたがない。　

「えーっと、僕は祖父似だとよく言われます。……いろんな意味で……」

　影響力はありつつもほとんど公の場に姿を見せなかった祖父だが、

はたして太一の祖母は納得してくれるだろうか。

あまり踏み込んだ話をしても無駄だろうと言葉を濁すと、

太一の祖母がゆるゆるとかぶりを振ってきた。